法的整理
事業再生の手法には大きく分けて「法的整理」と「私的整理」の二つがあります。
1、法的整理
裁判所の関与の下で法律にのっとって行われる倒産手続のことをいいます。そのなかには、
『再建型』
・・・債権者の協力を得て、「民事再生」手続や「会社更生」手続、「特定調停」などを用いて事業再生を目指すものをいいます。
『清算型』
・・・「破産」手続や「特別清算」手続を用いてすべての事業資産を換価処分して債権者に分配し、事業を廃止する本当の意味での倒産のことをいいます。
「法的再生」というと、上記のうち「再建型」手続を指します。「清算型」手続の中で事業譲渡等を行い、再建型の法的効果を得ることができる場合もありますが、きわめて少ないようです。
『再建型』のメリットは
メリットは、「債権者の主張を公正に調整できる」、「債務者の詐害行為を防止できる」、「整理屋等の介入を防止できる」「税制にそって合法的に費用化できる」などがあります。
『再建型』のデメリットは
デメリットは、「風評被害による社会的信用の欠落」、「費用が高い」、「手続きに時間がかかる」、「運用に制限がある」などがあります。
しかし、
- 過去の負債が圧縮されてもそもそもキャッシュフローが黒字化できない場合
- 税金や社会保険等の滞納が多くて再建の見通しが立たない場合
- 再建させても債権者への配当が清算配当を下回ると予想される場合
こういった場合には再建型の手続を用いて再生することはできません。清算型の手続を行うことになります。
特定調停の利点
唯一、2014年に施行された「新特定調停法」は、利害関係者が話し合いで合意すれば事業再生を可能とするものです。
その利用の仕方は、弁護士が中心となって「私的整理」スキームと同等の手順を経て、行います。
その際、弁護士やその他コンサルタントへ支払う費用を「経営改善補助事業」の補助金を活用することもできます。
★メリット
・倒産という風評被害の回避
・裁判官や専門的知識を有する調停委員の仲介機能
・無税償却、期限切れ欠損金の利用